教育法規とは何か。
日々の授業を行う上で教育法規ほど縁遠いものはない。しかしながら、私たち教員は教育法規に規定される範囲内で、日々の仕事のすべてを進めているといっても過言ではない。そう考えれば、教育法規に関する理解を深めることは、管理職になるための方途の1つではなく、教員が自身の仕事を広く、多角的に理解することにつながるといえる。
もっとわかりやすく言えば、教育法規を知ることは、自身の職務範囲や公務員としての身分、そして、教育実践の意味を客観的に捉えるための「武器」になりうる。
考えてみてほしい。
「学校」とは何か。なぜ教員は体罰を禁止され、懲戒権が認められているのか。学校の安全とはどの範囲で子どもに保証しなくてはいけないのか。感染症予防の手続きはどのように進めていくべきなのか…
これらの問いにわたしたちは即座かつ正確に答えられるだろうか。
これら、日々の実践をいくら積んでもすぐに答えを出しにくい問いへの答えを、明確かつ詳細に定めていて、しかもどの自治体のどんな環境にいるどの教員に対しても、「平等」なのが教育法規なのだ。
とっつきにくいかもしれないが、一度、いくつかの条文をよく読んでみると、日々の実践に極めて身近なものを含んでいることにも気づく。
教育法規を知り、理解を深めること。
それは、教員としての判断に迷ったとき、自分の職務をとらえなおそうと思うとき、目の前の子どもたちを守ろうとするとき、そのための客観的な指針を自身の中にプラスできる、つまり、強みになるということに他ならない。